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2024/05/19 18:53 |
蒸気都市
 同じ話ばかり書いていると脳が煮詰まると言いますか、自分自身に飽きがくるので、ちょっと別種のもので息抜きを計ろうかと。
 群像劇と言いますか、あまり明確なオチの無い文章の断片を置いておきます。
 星座さんたちには暫定で名前つけてます。
 以前開発日記の方で書いてた分ですが、こんな感じです▽

 羊:アレス・ホップ
 牛:トール・コルツフット
 双:ジェム・スカルキャップ
 蟹:キャンス・スティッチワート
 獅:レオン・ミスルトー
 乙:ヴァルク・エンダイヴ
 天:リーブル・セルフィルム
 蠍:スコープ・ルスティカーナ
 射:サジット・ウェーバー
 山:ゴート・コンフリー
 水:アクエリオ・ヴァレリアン
 魚:ピスケ・アイリッシュモス

 それでは適当にお楽しみくださいな。

 路地裏(071109)
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2000/12/31 02:15 | Comments(0) | TrackBack() | Steam Town
路地裏
「どうしたの、迷える子羊ゴッコ?」
 茶化した調子でかけられた声に、彼は珍しくゆっくりとした動作で顔を上げる。
 そこには隠し様もなく、うんざりした色が見えていた。
「そんな顔すんなよアレス、こっちまで気が滅入ってくる」
「うるせえっつうの。ちょっとは黙れよ、ジェム」
 そう言われたって、自分にとって喋るなと言われることは要するに死ねと言われたに等しい。
 もちろん黙るつもりなど毛頭なく、アレスの隣にすとんと腰を下ろして再びまくしたてる。
「ホント、どうしたのさ。魚の口に齧られた? 蟹のハサミにつねられた?」
「……どっちかっつうと、つねられた方」
 観念したのかアレスが口にした符号に、なんとなく合点がいった。
 水槽から彷徨い出たはずの子羊は、未だに尻尾を水に浸したままだ。
 ……そもそも、水槽から飛び出して、飛び込んだ先が《水瓶》というのがお笑い種だ。
 脳裏に一瞬でひらめいたその言葉遊びに、一人で笑いそうになる。
 けれどもアレスの真剣な顔に、慌ててそれを我慢した。
「そりゃあ、あの子もつねりたくもなるだろうよ。アンタが親の仇に身売りしたってんならね」
「その言い方はやめろよ、鳥肌が立つ」
 言い放ち、アレスはごろりと横になった。
 煤で汚れた石畳から、煙で霞んだ曇天を見上げている。
 それに習って上を見てみたが、鳥の一匹も飛んでいやしない。
「ああもう畜生! やめだやめだ!」
「せっかく就職したのに、もうやめるっての?」
「そっちじゃねえよ、チビのこと気にする方! 俺が凄腕の技師になりゃ、あいつも気付くだろ!」
「希望的観測、ってやつだね」
 単純明快なアレスの理論に冷静に言ってやったのだが、聞くほうが冷静でなければ聞こえないのと同じことだ。
 それでもまあ本人が満足ならそれでいいのだろうと思うことにして、いきやりやる気を出し始めたアレスに別段挨拶もせず、さっさとその場を後にした。
 ――《水瓶》の側なんかにいるなんて、勇気があるのか無謀な馬鹿か紙一重だ、と思いながら。

2000/12/30 02:17 | Comments(0) | TrackBack() | Steam Town

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